非嫡出子の相続割合とは!?相続争いを避ける対策を解説

相続

おはようございます。

東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。

婚姻関係にない男女の間に生まれた子は「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」と呼ばれ、認知されていれば嫡出子と同じ相続分を有します。

相続人に非嫡出子がいる場合は、相続トラブルが発生するリスクが高いため、生前から相続の予防対策を行うことが極めて重要です。

今回は非嫡出子の相続に関する基礎知識や注意点を解説していきます。

少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。

非嫡出子とは

非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子になります。

これに対して婚姻している男女の間に生まれた子は嫡出子といいます。

非嫡出子には、嫡出子とは異なる以下の特徴があります。

  • 父親が認知しなければ、父親と非嫡出子の間に法律上の親子関係はない
  • 非嫡出子の親権は、原則として母親が単独で行使
  • 親権者を父親に変更することは認められる場合がありますが、その場合も共同親権ではなく、単独親権となる
  • 非嫡出子は、原則として母の氏を称する

ただし家庭裁判所の許可を得て父の氏に変更することは認められ、氏を称する側の親の戸籍に入ります。

また非嫡出子の父母が婚姻し、かつ父親の認知を受けた場合には非嫡出子は嫡出子の身分を取得します(準正)。

非嫡出子の相続ポイントは認知

非嫡出子と母親の間には、生まれたときから法律上の親子関係があります。

そのため母親が死亡した場合には、非嫡出子は母親の遺産を相続することができます。

これに対し、非嫡出子と父親の間には、父親の認知がなければ法律上の親子関係が生じません。

そのため父親に認知された非嫡出子は父親の遺産を相続できますが、認知されていない非嫡出子には、父親の遺産の相続権がありません。

〈父親による非嫡出子の認知方法〉

  • 戸籍法に基づく市区町村への届出(民法781条1項)
  • 遺言(同条2項)
  • 認知の訴え(民法787条)

非嫡出子の法定相続

相続権を有する非嫡出子の法定相続分は、嫡出子と同じになります。(遺留分も同様)

現行民法では、父親に認知された非嫡出子の法定相続分は、嫡出子と同じとされています。

かつては非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分とされていました。

しかし最高裁平成25年(2013年)9月4日決定は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の半分とする規定が、法の下の平等(日本国憲法14条1項)に違反していたと判示しました。

この判事によって最高裁は、法律婚を優遇するという立法趣旨の合理的根拠が、日本における家族形態の変化や国際的環境の変化などによって失われたことを指摘しています。

2013年12月11日に改正民法が施行され、非嫡出子の相続分は嫡出子と同等と改められました。

非嫡出子の相続での注意点

亡くなった人に非嫡出子がいる場合、相続においてトラブルとなることが多々あります。

各トラブルの注意点をよく確認しておきましょう。

知されていない非嫡出子が認知の訴えを提起する

亡くなった父親に認知されなかった非嫡出子は、父親の相続人を相手方として、裁判所に「認知の訴え」を提起することができます。

認知の訴えを提起できる期間は、非嫡出子が父親の死亡を知った日から3年以内です。

認知の訴えでは、父親と非嫡出子の親子関係が争われ、DNA鑑定結果などの有力な証拠がない場合は、裁判が長期化することもあります。

非嫡出子があとから判明し、遺産分割が無効になる

相続人に含まれる非嫡出子を参加させずに遺産分割を行った場合、その遺産分割は無効になります。

あとから判明した非嫡出子に遺産分割の無効を主張されると、深刻なトラブルに発展するリスクがあります。

遺産分割を行う際には、亡くなった人が関連する戸籍謄本などを揃えて、相続人を漏れなく把握することが大切です。

非嫡出子と連絡がとれず、遺産分割協議ができない

非嫡出子と嫡出子が、日常的に連絡をとり合っているケースは稀です。

父親が亡くなり、遺産分割協議を行う必要が生じたときに嫡出子が非嫡出子と連絡をとれないことがよくあります。

相続人である非嫡出子と連絡がとれなければ、遺産分割協議を行うことができません。

スムーズに遺産分割協議を始めるためには、被相続人が存命のときから嫡出子と非嫡出子が連絡をとり合うことが望ましいです。

万が一、相続発生後に非嫡出子と連絡がとれない場合には、戸籍の附票で現住所を確認するなどの対応が考えられます。

どうしても非嫡出子の行方がわからない場合は、裁判所に対する不在者財産管理人の選任申し立てを検討することになります。

非嫡出子と嫡出子が激しく対立する

非嫡出子と嫡出子は、複雑な家族関係ゆえに険悪であることもよくあります。

この場合、遺産をめぐって非嫡出子と嫡出子が激しく対立し、遺産分割協議がまとまりません。

遺産分割協議が合意に至らない場合は、家庭裁判所の調停や審判を通じて解決を図ります。

非嫡出子の相続における予防策

非嫡出子がいる場合は、生前の段階から相続トラブルの予防策を講じることが重要です。

相続トラブルを回避するための予防策を確認します。

生前に非嫡出子を認知する

非嫡出子を認知しないまま亡くなると、非嫡出子が認知の訴えを提起して相続トラブルが深刻化する可能性が高いです。

相続トラブルを予防する観点からは、生前の段階で市区町村に認知届を提出しておくことが望ましいです。

また遺言によって認知を行うこともできます。

遺言書を作成する

遺言書を作成して、遺産の分け方をあらかじめ指定しておけば、非嫡出子と嫡出子が遺産をめぐって争う事態を防げます。

また非嫡出子の認知が済んでいない場合は、遺言によって非嫡出子を認知することも可能です。

  →→遺言書の解説についてはこちら

生前贈与を行う

財産の分け方をあらかじめ決めておくという観点からは、生前贈与を行うことも予防策になります。

自身が財産を与えたい人との間で贈与契約を締結して、存命のうちに財産を移します。

  →→生前贈与の解説についてはこちら

まとめ

今回は非嫡出子の相続について解説をしました。

非嫡出子が相続人である場合、遺産分割に関してトラブルとなる可能性を高く秘めています。

トラブルとならないためにも予防策を講じておくことが大切です。

少しでも不安な点や疑問点があれば法律専門家へ相談することが重要です。

豊富な知識や経験から、ご自身の状況にあった的確なアドバイスを得ることができます。

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行政書士倉橋尚人事務所

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