おはようございます。
東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。
亡くなった方(被相続人)の財産の増加や維持に特別な貢献を相続人が行った場合「寄与分」が認められる可能性があります。
寄与分が認められると、その相続人の遺産の割合が増えより公平な遺産分割を実現することができます。
また、近年では相続人以外の人の寄与も評価できるように「特別寄与料」という制度が作られました。
今回は、特別寄与料について特徴や請求方法、寄与分との違いなどを解説していきます。
少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。
→→寄与分の解説についてはこちら (特別寄与料と合わせてご確認ください)
特別寄与料とは
民法改正により2019年から設けられた新たな制度となります。
特別寄与料とは、亡くなった人(被相続人)の相続人ではない親族が、被相続人に対し介護などの特別な貢献をした場合、被相続人の財産から貢献度に見合った金銭を受け取ることができる制度です。
2019年以前では、たとえ配偶者の親を長年介護したとしても、相続人ではない親族は法定相続人でないという理由で財産を受け取れませんでした。
不公平という声が高まり、特別寄与料が新たに設けられました。
特別寄与料の負担は、相続人が複数いる場合には、それぞれの相続人が法定相続割合に応じて特別寄与料を負担するものと考えられています。
特別寄与料が認められる親族
特別寄与料が認められるのは「親族」です。
具体的には以下の親族となります。
- 配偶者
- 6親等以内の血族
- 3親等以内の姻族
血族とは、自分と血のつながった親族です。
6親等以内なので、兄弟姉妹、甥姪、甥姪の子ども、親、祖父母、曽祖父母、おじやおばやその子どもなどにも広く特別寄与料が認められる可能性があります。
姻族とは配偶者の親族です。
姻族の場合には3親等以内に限定されますが、配偶者の兄弟姉妹や甥姪、親や祖父母、曾祖父母などに特別寄与料が認められる可能性があります。
特別寄与料が認められる行為
特別寄与料が認められるのは、以下のような行為を行ったときになります。
献身的な介護(療養看護)
親族が被相続人を献身的に介護・看護したケースです。
ただし「特別な貢献」である必要があるので、単に親族の扶養義務の範囲で対応しただけでは寄与分が認められません。
仕事をやめて介護に専念したなど、結果として介護職員を雇わずに済んだために財産が維持されたケースでは寄与分が認められる可能性が高いといえます。
事業を無償で手伝った(家事従事)
被相続人の事業を無償で手伝った場合にも寄与分が認められる可能性があります。
ただしこの場合にも特別の寄与となる必要があるので、正当な報酬を受け取っていたら寄与分は認められません。
また時期的にも一時であれば財産の維持や増加に貢献したとはいえません。
数年にわたり継続的に無償で農業や事業などを手伝い続けたら、寄与分が認められる可能性が高くなります。
特別寄与料を請求する方法・請求できる期限
親族が特別寄与料を請求したい場合、適宜相続人へ金銭を請求する必要があります。
遺産分割協議に参加する必要はありません。
協議が始まる前であっても相続人へ請求できますし、協議が終わってからの請求もできます。
また特別寄与料はあくまでお金を請求する権利であるため、遺産そのものの引き渡しは請求できません。
特別寄与料の請求には期限があります。
- 相続の開始と相続人を知った日から6か月以内
- 相続開始から1年以内
いずれか早い方の時期に請求しなければ、特別寄与料は受け取れなくなるため早めに対応する必要があります。
特別寄与料と寄与分の違い
特別寄与料と寄与分の違いでは違う点があるため、注意が必要です。
認められる人の範囲
寄与分が認められる対象は相続人のみになります。
一方で特別寄与料は「親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)」に認められます。
特別寄与料であれば孫や長男の嫁など相続権のない人にも認められる可能性があります。
認められる状況
寄与分が認められる状況と特別寄与料が認められる状況も異なります。
寄与分の場合、介護療養や家事従事以外にも扶養や金銭出資、財産管理を行った場合に認められる可能性があります。
一方特別寄与料が認められるのは介護療養した場合と事業を手伝った場合に限定されます。
金銭出資や扶養、管理を行っても特別寄与料は請求できません。
請求方法と請求期限
寄与分は遺産分割協議や調停など「遺産分割」の場で主張します。
特に請求期限はなく、遺産分割が終わるまでであればいつでも主張・請求することができます。
一方で特別寄与料の場合、遺産分割とは無関係に寄与者が相続人へ金銭の請求を行います。
期限があり「相続開始と相続人を知ってから6か月以内」または「相続開始から1年以内」の早い方に請求する必要があります。
まとめ
今回は特別寄与料についての特徴や請求方法を解説しました。
似てる制度ではありますが、法定相続人が主張できる「寄与分」とは異なるため、よく理解して特別寄与料を請求しましょう。
少しでも不安な点や疑問点があれば法律専門家へ相談することが重要です。
豊富な知識や経験から、状況にあった的確なアドバイスを得ることができます。
事前に予防措置を講じることが、揉め事を避けるために何より重要です。
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