墓じまいとは!?失敗しない墓じまいの進め方や費用を解説

相続

おはようございます。

東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。

近年、地方の過疎化や少子化などの影響もあり、継承する方がいない無縁墓が増えています。

また「子どもに負担をかけたくない」「お墓が遠方にありお墓参りが難しい」「夫婦それぞれの実家のお墓を守るのが大変」など供養に関する価値観の変化から、墓じまいを検討する方が増加しています。

今回は墓じまいについて、進め方や費用について解説していきます。

少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。

   →→→お墓の相続(承継)についての解説はこちら

墓じまいとは

墓じまいとは、現在抱えているお墓を片付けて、お寺や墓地の管理者に土地を返上する事で、遺骨の引越しを行う事です。

少子化や核家族化が進む日本では、2014年頃から墓じまいを行う人が増えてきたと言われています。

加えてライフスタイルも大きく変化し、墓参りをする人やその機会も全体的に減少傾しています。

墓じまいをするときは、取り出したご遺骨の供養方法を決める必要があります。

<主な供養方法>

  • ご遺骨を別のお墓に移す(一般墓、永代供養墓、納骨堂など)
  • 散骨する(海洋散骨、宇宙散骨など)
  • 手元供養する

墓じまいや永代供養としばしば混同される「改葬」とは、現在のお墓から取り出したご遺骨を別のお墓に移す行為です。

混同しやすい言葉ですが、区別して覚えておきましょう。

墓じまいの進め方

「お墓を返すだけなのに、何が大変なのか?」と思う方もいるかもしれません。

しかしながら墓じまいには行政手続きを含めた多くの手順があります。

具体的には、主に以下の手順で墓じまいを進めます。

墓じまいをするにあたって最初にすべきことは、事前に関係する親族全員と話をして同意を得ることです。

お墓に対する価値観が多様化し自由が尊重されるようになったといっても、親族の中に「お墓は代々受け継いでいくものだ」という考えの方がいないとは限りません。
反対する親族の合意を得ることなく勝手に決断して進めてしまうと、後々大きなトラブルにつながりかねません。

墓じまいを進めるためには、「なぜ墓じまいを考えたか」、「墓じまいの後はどうするつもりか」を丁寧に説明し、納得してもらう必要があります。

そのため、この話し合いに臨む際には事前に既存のお墓に誰のご遺骨が何体入っているのかを確認しておき、それぞれの行き先まで考えておくといいでしょう。

最終的には、決定した内容を記した覚書などをつくると、後々トラブルを回避することができます。

墓じまいを申し入れる

墓じまいをすることが決まったら、お墓の管理者である霊園や寺院にその意思を伝え、「埋葬証明書」を発行してもらいます。

長年にわたって檀家としてお世話になってきた寺院が管理者の場合、伝え方によってはトラブルに発展することがあるので注意が必要です。

まずは、墓じまいを決断するに至った事情を丁寧に伝え、理解を求めましょう。

新たな納骨先を決める

墓じまい後のご遺骨の受け入れ先としては、別の一般墓や樹木葬、納骨堂など、永代供養をしてくれる施設への改葬、手元供養などがあります。

改葬する場合は、墓じまいの手続きと併せて改葬先を探し、管理者に「受入証明書」を発行してもらう必要があります。

墓じまいを依頼する

お墓を解体・撤去し、更地にする作業を個人で行うのは大きな困難を伴います。

供養や諸手続きを滞りなく行うためにも、墓じまいは代行をしている石材店や専門業者に依頼するのがおすすめです。

霊園によっては、墓地内の通路の幅やセキュリティなどの関係で、依頼できる業者が決まっていることもありますので、事前にお墓の施設の管理者に確認をしておく必要があります。

改葬許可証を受け取る

お墓の管理者から発行された「埋葬証明書」、改葬先から発行された「受入証明書」と併せて、現在のお墓がある市区町村に「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を受け取ります。

改葬許可申請書は、自治体の窓口やウェブサイトなどからダウンロードすることが可能です。

申請書には、改葬する故人の本籍地、住所、氏名、性別、死亡年月日、火葬や埋葬の場所とその年月日、改葬の理由、改葬先、申請者の個人情報と故人との関係などを記入する必要があります。

必要となる記載項目は自治体によって異なりますので、あらかじめ情報を集めておくと申請をスムーズに進めることができます。

なお、この手続きは、散骨や手元供養の場合には必要ありません。

ご遺骨を取り出す

改葬許可証を入手した後は、お墓の中に入っているご遺骨を取り出すことができます。

お墓のある施設によっては、お墓に宿る魂をお坊さんに抜いてもらう「閉眼供養」を行います。

閉眼供養は、地域によって「魂抜き」、「お性根抜き」などと呼ばれる場合もあります。

墓地を管理者に返還する

ご遺骨の取り出しが完了したら、お墓を解体し墓石を撤去します。

土の上の墓石だけでなく、土の中の基礎工事部分までしっかり撤去されたことを確認して土をならして整地をしたら、管理者に土地を返還し墓じまいは完了です。

なお、改葬する場合は、改葬先と打ち合わせておいた日程で、お墓の移転工事を行います。

新たにお墓を建てる場合は別途僧侶に依頼して、「開眼供養」(魂入れ)を行ってもらう必要があります。

墓じまいにかかる費用

墓じまいに関する合計費用は埋葬方法や各自治体・お寺などで上下する為一概ではありませんが一般的には100万程度~350万円程度で行われています。

自治体によっては墓地の撤去などに補助金を出しているところもあります。

その有無については、墓地を管理している自治体に問い合わせましょう。

手続きに必要な書類にかかる費用

別の移転先へ改装する場合は「改葬許可証」、新しいお墓に移転の場合は「受入証明書」「埋葬証明書(納骨証明書)」などが必要になります。

自治体によりますが、多くは無料の場合が多いです。

墓じまいを行うお寺へのお布施(離檀料)

菩提寺にお墓があった場合には、原則として家がそのお寺の檀家になっているので、その寺の檀家から離れるための「離檀」の手続きが必要です。

そのほかお墓から魂を抜く「閉眼供養」を行う場合もあります。

それらを合わせて、今までお世話になったお寺に対する感謝の気持ちとして、「お布施」という形で離檀料を支払います。

離檀料はお寺との関係や格式、その地方によっても異なりますが、一般的には閉眼供養などの法要と合わせて、10〜40万程度と言われています。

墓の解体・撤去作業にかかる費用

墓じまいをした後は、石材店などの専門業者に依頼して墓地の解体・撤去作業を行います。

費用は1平方メートル当たりの料金単位で計算される事が一般的です。

また重機が入らない場所では料金が高くなります。業者により異なりますが、相場は1平方メートル当たり8〜15万円程度です。

移転先のお墓の管理者

一般的なお墓への場合は、開眼供養のお布施代が3〜10万円、その他に墓地費用、墓石代などが100〜300万円ほどかかります。

散骨の場合は3〜30万円程度です。

墓じまいを行政書士に依頼するメリット

墓じまいには行政手続きを含む各種申請が必要です。

これらは専門知識が不足していると時間や費用がかかるため、個人で進めようとすると大きな負担になります。

このような背景から、手続きの負担を軽減する目的で、墓じまいに関わる申請や代理・代行業務を行政書士に依頼する方も増えています。

手続きを円滑に進められる

多くの人にとって、墓じまいは初めての経験です。

先に触れた「墓じまい進め方」にもあるように、墓じまいには多数の手順が存在し、個人で対処するには大きな負担が伴います。

行政書士は、民法をはじめとする法律や、行政手続きに関する専門知識を有しています。

墓じまいの申請や代理・代行を行政書士に依頼すれば、墓地管理者や役所の煩雑な手続きや作業を行政書士が進めてくれるため、墓じまいを円滑に進められるだけでなく、安心感も得られます。

専門家のサポートを受けられる

行政書士は、行政や法律に関する専門家です。

日常的に行政機関への許認可申請や、申請書類の作成などを手がけています。

墓じまいにおいても、行政書士は確かなサポートを提供し、墓地の管理者や役所への確認、申請書類の作成、申請や代理・代行業務を担えます。

また、行政書士には法律により厳格な守秘義務が課せられているため、墓じまいに関連する個人情報やプライバシーの保護についても安心して依頼していただけます。

<行政書士の行える手続き>

  • 改葬許可の代理申請
  • 代理申請に伴う戸籍謄本の取得
  • 改葬許可証の取得および代理提出
  • 現在の墓地管理者からの埋葬証明書の取得

まとめ

今回は墓じまいの進め方や行政書士に依頼するメリットについて解説しました。

一口に墓じまいと言っても取り出した遺骨の供養方法が数パターンあり、手続きや作業を行ってもらう依頼先・依頼内容でも料金が大きく上下します。
墓じまいという行いがそれだけ多様なニーズに即した形になっている事がうかがえます。

しかし一律に語る事ができないがゆえに、親族との綿密な話し合いは墓じまいにおいて非常に重要になります。

墓じまいをする理由は人それぞれです。

現代では様々な供養の形式がとられており、お墓に対する考え方も多様化しています。

将来を見据えてお墓をどうするか、親族と話し合う必要があります。

少しでも不安な点やわからない点があれば行政書士に相談することをおすすめします。

豊富な知識から的確なアドバイスを得ることができます。

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行政書士倉橋尚人事務所

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