おはようございます。
東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。
会社を設立しようと考えた時に、家族を会社役員に据えることを考える人もいると思います。
「役員」という存在の位置づけを考える上で、「どういう立場が本当の意味での役員なのか」という点をまず検討して明確にすることが重要になります。
自分のみが役員である場合と比べて、自分以外の役員が存在する場合は様々な点に配慮する必要があります。
今回は会社設立時に家族を会社役員に据えた場合のメリットや注意点を解説いたします。
少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。
会社役員とは
役員とは会社運営において責任を持つ役職にある人。
経営、事業方針の決定や業務・会計の監督や監査などを担います。
役員と聞いて、代表取締役・専務取締役・常務取締役・執行役員などを思い浮かべることが一般的です。
会社法では329条の定義によりに役員とは「取締役」「会計参与」「監査役」の3種類になります。
執行役員は役員ではなく、従業員という位置づけになります。
→→出典 e-Gov法令検索_会社法
家族を会社役員にするメリット
配偶者や子どもを会社役員にすることのメリットについて確認します。
裏切られる心配がない
親子や夫婦での「お家騒動」という言葉もありますが、実際には家族内での経営トラブルは稀といえます。
信頼という点で頼りない人材を役員として据えるより、家族を役員として置くことで、意志決定・業務などの仕事を手伝ってもらうことが可能です。
さらに子どもが働ける年齢の場合、会社経営者として早くから育成することも可能で、事業承継という点でも安定化を図ることができます。
所得税の節税ができる
家族を会社の役員にすることで、所得税の節税が可能です。
所得税は累進課税であり、個人の収入が高いほど税率も高くなります。
しかし役員報酬として家族に収入を分配することで、個人ごとの収入を低く抑えることができ、所得税の負担を軽減することができます。
▼1,500万円の所得を1人でもらうより、家族2人で900万円と600万円としたときの所得税負担が少なくなります。
相続税・贈与税の節税
役員報酬として家族に資産を渡すことで、相続時に課税される財産の総額を減らすことができます。
また役員報酬として資産を移転するため、贈与税も回避できます。
これにより家族間での資産移転がスムーズかつ税効率的に行えます。
家族を会社役員にすることの注意点
役員報酬は一度決めるとすぐには変えられない
役員報酬は基本的に事業年度途中で変更することができません。
経営状況が悪化した場合でも、期首に決めた報酬額を支払わなければならないため、財務的な柔軟性が欠けることがあります。
また役員報酬を経費にできる要件として定期同額給与の決まりがあります。
従業員の給与と違っていつでも金額を自由に変えられない点には注意が必要です。
従業員の場合と同じように勤務実態の記録や取締役会への参加が必要
ほとんど役員としての勤務実態がない場合、役員報酬が勤務実態と比較して高すぎるとして否認されてしまうこともあります。
定期的に取締役会を開いており、会社の重要な意思決定に参加していた記録を残すため、議事録等を保管しておくようにしましょう。
まとめ
家族を会社役員にすることのメリットや注意点について解説しました。
役員に据えることでメリットがありますが、その反面注意すべき点もあります。
ご自身の環境と照らし合わせて検討しましょう。
不安な点などがあれば、法律専門家へ相談することも大切です。
様々な企業や事業者を見て来た観点から、適切なアドバイスを得ることが可能です。
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