株式の譲渡制限とは!?譲渡制限のメリット・デメリットや譲渡の流れを解説

法人・会社

おはようございます。

東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。

「これまでの個人事業を法人化したい」

「これまでの経験・人脈を活かして独立したい」

「気の合う仲間内で会社設立をしたい」

会社を設立しようと考える理由は様々あると思います。

しかし会社を設立するために行うべき手続きは多岐にわたり非常に煩雑です。

後先を考えず、安易に進めようとした場合必ず痛い目にあいます。

今回は定款の任意的記載事項である株式の譲渡制限についてポイントを解説します。

少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。

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株式の譲渡制限とは

会社株式の一部または全部を譲渡するにことに対して制限がかけられている株式です。

この制限のかけられた株式を譲渡するためには、会社法もしくは定款に定められた手続きを行い会社の承認を得る必要があります。

会社の発行株式すべて全部の株式を譲渡制限株式とするパターンと一部の株式を譲渡制限とするパターンがあります。

譲渡制限をつける目的

譲渡制限株式がついた株式を譲渡する際、基本として取締役会もしくは株主総会の承認を得る必要があります。

譲渡制限をつける目的は、

『会社が不利益となってしまう第三者に対して株式がわ渡ることを防ぐため』

『株式の所有者を明確にさせるため』

となります。

このような状況を考えて、用途に合わせれば有効に活用することができます。

公開会社と非公開会社との違い

上場している企業を公開会社と混同されがちですが、以下のとおりとなります。

公開会社:譲渡制限株式を設けていない株式を最低1株発行している会社

非公開会社:譲渡制限株式以外の株式を1株も発行していない会社

譲渡制限株式のパターン

前述のとおり譲渡制限株式には2パターンあります。

  • 発行する株式全部に譲渡制限をつけるパターン
  • 発行する株式の一部に譲渡制限をつけるパターン

ともに定款に定めることによって譲渡制限をつけることができます。

会社の株式が譲渡制限がついているかどうかについては、定款・登記簿謄本を確認することで判明します。

譲渡制限株式を発行するメリット

譲渡制限が付いた株式を売却する(譲渡)ためには、会社承認を得るために時間がかかります。

そのため株主にとってはデメリットのある株式です。

しかしながら、日本企業の大半は譲渡制限付きの株式を発行しています。

これは会社にとって以下のメリットがあることが考えられます。

譲渡制限株式によって会社の乗っ取りを防ぐ

譲渡制限株式を譲渡するためには、会社承認を得る必要があるため会社の乗っ取られることを対策しています。

会社が承認をしなければ、会社にとって都合の悪い投資家へ株式が渡ることがありません。

譲渡制限株式を発行することによって役員の任期を延ばせる

譲渡制限による株式によって非公開会社とすることで、役員の任期を延ばすことができます。

取締役・会計参与の任期は2年、監査役の任期は4年と定められています。

非公開会社であれば、2年・4年の任期を10年に延ばすことができます。

小規模の会社であれば、家族や知人で企業を切り盛りしていますが任期が2年や4年であれば、社内メンバーが変わらない中で役員を選びなおさなければなりません。

また、非公開会社であれば取締役を株主の中から選ぶといった役員選任時の制限的な決まりを設けることもできます。

取締役会や監査役を置かなくても良い

公開会社の場合は、取締役会を置く必要があります。

取締役会は取締役3人以上で構成される組織です。

非公開会社であれば、取締役1人を置けば会社を経営することができます。

また非公開会社が取締役会を設置する場合、監査役か会計参与を設置することが必要となります。

株主総会の手続きが容易となる

会社経営において、株主総会は重要な役割を持っています。

そのため株主総会の招集には厳格なルールが設けられています。

株主総会を開くときは、開催の2週間以上前に書面で通知することがルールとしてあります。

非公開会社であれば、開催の1週間前または1週間より短い期間で開催することができます。

招集についても口頭や電話で通知することも可能です。

株式を渡したい人(後継者)へ集中させることが可能

株式を渡したくない人への譲渡を承認しないということは、株式を渡したい人へ株式を集中させることが可能です。

会社承継時に後継者に対して、株式を集中させることができます。

譲渡制限株式を発行するデメリット

ここまで譲渡制限株式を発行することのメリットを述べましたが、反面デメリットも存在します。

株主にとっては、譲渡制限株式を簡単に手放すことができないことです。

このほか、会社にとってもデメリットがあります。

決算公告が必要となる

株式に譲渡制限をつける際には、その旨を公告する必要があります。

決算公告は会計手続きとして、多くの時間がかかります。

相続の時に、会社乗っ取りの可能性がある

後継者となる人間が経営者の株式を相続した場合、他の株主が後継者に対して株式の売り渡し請求をすることができます。

これにより株主総会が招集されたときは、後継者に議決権がなく売り渡し請求に反対することができません。

このように売り渡し請求が議決されてしまった場合、意図しない人間に株式が渡り会社乗っ取りが起こる可能性があります。

譲渡制限株式を売却する(譲渡)ときの流れ

繰り返しになりますが、譲渡制限株式を売却する(譲渡)場合は会社の承認を得る必要があります。

売却するためには以下の流れとなります。

【譲渡制限株式の売却(譲渡)の流れ】

  • 株式の売主と買主が共同して会社に承認するよう申し入れる
  • 会社の意思決定機関(株主総会など)が承認の可否について判断する
  • 会社が株式譲渡を承認する場合はその旨を通知する
  • 譲渡制限株式の譲渡を実行する
  • 株主名簿の名前を新株主の名前に変更する

また譲渡制限株式は市場での株価がないため売却値をどうするかの問題もあります。

基本は話し合いで決め、決まらなければ裁判で決めてもらうことになります。

裁判所へ申し立てをしない場合は、会社法で定められたルールに従い、供託価格での売却となります。

まとめ

株式の譲渡制限について解説をしました。

日本企業の大半は譲渡制限の株式を発行しており、会社を立ち上げる時も譲渡制限株式を発行することとなるでしょう。

自信の夢・希望や野望に満ちて、会社を興すことと思います。

譲渡制限株式について不明な点や会社設立について不安な点があれば法律専門家へ相談することをおススメします。

会社設立まで、会社設立後の計画をしっかり立てて夢や野望のために進んでいただければ幸いです。

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行政書士倉橋尚人事務所

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