人材確保等支援助成金申請とは!?概要や申請の流れ、活用の意図を解説
おはようございます。
東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。
支給の要件を満たすことで国や地方自治体から支給される助成金。
その中でも人材確保等支援助成金を活用することは人材の定着や業務改善を目指す事業主にとって大きな力となってくれます。
今回は人材確保等支援助成金について解説するとともに、この解説が少しでもお役に立てれば幸いです。
人材確保等支援助成金とは
人材確保等支援助成金は、厚生労働省の助成金の一つで従業員を新たに採用したり、従業員のスキルアップや再雇用に関する取り組みに対する助成金となります。
また人材確保等支援助成金は9つのコースに分かれており、それぞれ要件や助成金額が異なります。
各コースの内容を正しく理解して、最適なコースを選択することが重要です。
→→出典 厚生労働省 人材確保等助成金
生産性要件とは
人材確保等支援助成金は、生産性が一定要件を満たすことで助成額が割増されます。
申請を検討されている場合は、生産性要件を達成することも視野に入れておくべきです。
生産性=人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課+営業利益/雇用保険被保険者数
【生産性要件】
・生産性が3年前に比べると6%以上伸びていること
・生産性が3年前に比べると1%以上(6%未満)伸びていること
人材確保等支援助成金 9つのコース
人材確保等支援助成金において、用意されている9つのコースの特徴や助成金額を紹介していきます。
雇用管理制度助成コース
雇用管理制度助成コースは従業員の離職率を減らすことが目的となります。
【対象】
雇用管理制度の導入・実施を通じた従業員の離職率低下に取り組む事業主
雇用管理制度とは諸手当等制度・研修制度・健康づくり制度・メンター制度・短時間正社員制度(保育事業主のみ)など
【助成金額】
57万円(離職率の目標を達成した場合)
【主な要件】
- 雇用管理制度整備計画を作成して労働局の認定を得る
- 雇用管理制度の導入・実施
- 雇用管理制度を実施したうえで離職率低下目標を達成する
介護福祉機器助成コース
介護福祉機器助成コースは、介護労働者の身体的負担を軽減して従業員の離職率低下が目的となります。
【対象】
従業員の負担を軽減するため、介護福祉機器の導入による離職率定価を目指す事業主
【助成金額】
離職率低下 導入費用の20%(上限150万円)
【主な要件】
- 介護福祉機器の導入・運用計画の認定
- 介護福祉機器の購入
- 離職率低下目標を達成する
中小企業団体助成コース
中小企業団体助成コースは、中小企業団体(事業協同組合など)が構成中小企業に対し人材確保や従業員の職場定着を支援するための事業を行った際に助成対象となります。
【対象】
雇用管理の改善を目指し雇用創出を図ることを目的として、構成中小企業に対して労働環境改善の事業を行う事業主
【助成金額】
1年間の中小企業労働環境向上事業の実施に要した費用の2/3の額
大規模認定組合等(構成中小企業者数500以上)は上限1,000万円
中規模認定組合等(構成中小企業数100以上500未満)は上限800万円
小規模認定組合等(構成中小企業数100以下)は上限600万円
【主な要件】
- 雇用管理の改善計画の認定
- 1年間の「中小企業労働環境向上事業」の実施計画を策定して、労働局長の認定を受ける
人事評価改善等助成コース
人事評価改善等助成コースは、生産性向上のための人事評価制度を整備し定期昇給のみによらない賃金制度を設け、生産性の向上や離職率低下を図ることが目的となります。
【対象】
生産性向上に資する人事評価制度を整備して定期昇給などのみでない賃金制度を設ける事業主
【助成金額】
目標達成助成80万円
【主な要件】
- 人事評価制度等整備計画の認定
- 人事評価制度等の実施
- 賃金の増加・賃金の増加を引き下げていないこと
- 離職率の低下
※人事評価等整備計画を提出する前1年と比較して、人事評価制度等の実施日の翌日から1年間の離職率を目標値以上に低下させること
建設キャリアアップシステム等普及促進コース
建設キャリアアップシステム等普及促進コースは、建設労働者の雇用改善や技能向上を目的に改善の取り組みを行う建設事業主または建設事業主団体を助成します。
【対象】
・建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録、技能者登録、能力評価(レベル判定)または見える化評価の登録費用の全部または一部を補助する事業
・建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録、技能者登録、能力評価および見える化評価の事務手続きを支援する事業
・建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴蓄積に係るカードリーダーなどの各種機器やアプリなどのソフトウェア等の導入を促進する事業
【助成金額】
支給対象経費の2/3(中小建設事業団体)
支給対象経費の1/2(中小建設事業団体以外の建設事業団体)
※1団体の1事業年度の上限は全国団体で3,000万円、都道府県団体で2,000万円、地域団体で1,000万円
【主な要件】
- 事業推進委員会を設置し、計画届を作成
- 計画届を管轄する労働局に提出、計画の実施
- 事業推進委員会で効果検証を行い、「事業目標・効果検証報告書」を管轄の労働局へ提出
若年者および女性に魅力のある職場づくり事業コース
若年者および女性に魅力のある職場づくり事業コースは、労働者が働きやすい魅力のある職場環境の推進を目的としています。
さらに対象・助成内容について2つに分けられます。
【対象】
① 若年および女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った建設事業主または建設事業主団体
② 建設工事における作業についての訓練を推進する活動を行う広域的職業訓練を実施する職業訓練法人
【助成金額】
①の場合 支給対象経費の3/5(中小企業建設事業主)
支給対象経費の9/20(中小企業建設事業主以外の建設事業主)
支給対象経費の2/3(中小企業建設事業主団体)
支給対象経費の1/2(中小企業建設事業主団体以外の建設事業主団体)
②の場合 支給対象経費の2/3
【主な要件】
- 計画届の作成
- 支給申請書の提出
作業員宿舎等設置助成コース
作業員宿舎等設置助成コースは、労働者の生活(住宅)環境を改善することが目的となり、対象として3つに分かれます。
【対象】
① 岩手県、宮城県、福島県に所在する作業員宿舎、作業員施設、賃貸住宅を賃借した中小建設事業主
② 自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借した中小元方建設事業主
③ 認定訓練の実施に必要な施設や設備の設置又は整備を行った広域的職業訓練を実施する職業訓練法人
④ 石川県に所在する作業員宿舎、賃貸住宅、作業員施設を賃借した中小建設事業主
【助成金額】
①の場合:支給対象経費の2/3
②の場合:支給対象経費の3/5
③の場合:支給対象経費の1/2
④の場合:建設労働者1人あたり25万円(作業員宿舎)
支給対象費用の2/3(賃貸住宅、作業員宿舎)
【主な要件】
- 計画届の作成
- 支給申請書の提出
外国人労働者就労環境整備助成コース
外国人労働者は言語の違いや日本の労働法・慣習への知識不足から労働条件や就労においてトラブルが生じるケースがあります。
外国人労働者就労環境整備助成コースでは、外国人特有の事情に配慮し就労環境の整備や職場定着に取り組む事業主に対して経費の一部を助成します。
【対象】
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則などの多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主
【助成金額】
支給対象経費の1/2(上限57万円)
賃金要件を満たした場合は2/3(上限72万円)
【主な要件】
・就労環境整備措置の導入・実施
・離職率目標の達成
テレワークコース
テレワークコースでは、テレワークの実施によって雇用改善に取り組む事業者を支援しています。
助成となる経費にはテレワーク用端末(PC・タブレット・スマホ 等)のレンタル・リース費用も含まれます。
【対象】
良質なテレワークを制度として導入、実施することによって、労働者の人材確保や雇用管理改善などの観点から効果をあげた中小企業事業主
【助成金額】
・機器等導入助成 1企業あたり、支給対象となる経費の30%
・目標達成助成 企業あたり、支給対象となる経費の20% (賃金要件を満たす場合35%)
【主な要件】
・機器等導入助成
評価期間(機器等導入助成)において、1回以上、テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施など
・目標達成助成
評価時離職率が、計画時離職率以下であることなど
まとめ
雇用の安定を図ることで、企業の長期的な成長目標を達成することが可能です。
人材確保等支援助成金を上手に活用することで、労働環境の改善を目指してみてはいかがでしょうか。
申請について不明点や気になる点があるのであれば、法律専門家へ相談することが重要です。
経験のある法律専門家であれば、的確なアドバイスを得ることができます。
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