任意後見制度とは!?任意後見制度を利用するメリットや手続きの流れを解説

後見制度

おはようございます。

東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。

加齢や認知症によって判断能力は低下してきます。

判断能力が低下したときに、任意後見人が本人に代わり財産管理や身上監護を行う任意後見制度

大切な財産や権利を守るために任意後見制度を検討されている方も多くいらっしゃいます。

今回は任意後見制度について解説していきたいと思います。

既に判断能力が低下してしまった場合は法定後見制度を選択することになります。

   →→法定後見制度についてはこちら

任意後見制度とは

将来において自身(本人)が認知症や障害によって判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ契約によって「任意後見人」を選任する制度となります。

後に判断能力が低下した時に任意後見人が、サポート役となります。

任意によってご自身が信頼できる人と契約を締結することで、判断能力が低下した後に本人に代わり財産の管理や身上監護を行います。

ほか、ご自身(本人)の施設入居の契約なども代わり行うこともできます。

任意後見は3タイプがある

任意後見人の契約は、開始時期により3タイプに分かれます。

【即効型】

任意後見契約と同時に後見開始となるタイプ。

契約締結後ただちに家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申し立てを行い、任意後見をすぐに開始します。

【将来型】

本人の判断能力が低下する前に任意後見契約を締結します。

その後、本人の判断能力が低下した時に家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申し立てを行います。

契約締結から後見開始までに時間を要するため、契約者との関係性が変わっていたり、契約自体を忘れてしまっている場合があります。

契約締結から継続的に支援する仕組みなどがあることが望ましいです。

【移行型】

任意後見契約においてもっともよく活用されているタイプになります。

任意後見契約と同時に見守り契約や任意代理契約・死後事務委任契約を締結します。

   見守り契約:本人の健康状態を確認するために定期的に訪問して見守る契約

   任意代理契約:財産管理・身上監護に関する委任契約

   死後事務委任契約:死亡時の葬儀など事務等に関する任意契約

本人の判断能力があるときには、見守り契約や任意代理契約によるサポートを行い、判断能力の低下がみられた後に任意後見契約でのサポートとなるため、サポートしていない期間がないことがメリットになります。

任意後見制度のメリット

任意後見人を本人が選べる

法定後見制度の場合、申立人の推薦をふまえ家庭裁判所が後見人を選任します。

本人は申し立ての時点で判断能力が低下しているため、適任者を推薦することは難しいです。

任意後見制度であれば、判断能力があるときに信頼できる人を任意後見人とすることが可能です。

任意後見人の権限内容を個別に決めることができる

法定後見制度であれば、サポートできる内容は民法で規定されています。

これに対して任意後見制度であれば、本人の意思によって後見人のサポート内容を自由に決めることができます。

本人の状態や状況に合わせて柔軟なサポート体制をとることが可能です。

任意後見制度のデメリット

任意後見人に取消権が認められない

本人の利益を守るため法定後見制度の後見人は、本人が行った契約などの行為を無条件で取り消すことができます。(民法 9条、13条4項、17条4項)

これに対して任意後見人には取消権が認められておらず、本人が単独で行った行為を取り消すことができません。

本人のサポートとして不十分となる可能性があります。

任意後見監督人の選任が必須

任意後見監督人は、任意後見人が任意後見契約の内容にそってサポートをしているか監督する役割となります。

任意後見を開始するためには、家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を申し立てます。

任意後見監督人は本人の家族・親族ではなく、法律専門家や社会福祉士などの第三者が選任されることが一般的です。(法人でも監督人なることがあります)

そのため、任意後見人のほか任意後見監督人の報酬も支払う必要があり経済的な負担が増します。

  ≪任意後見監督人の報酬≫

  管理財産額が5,000万円以下で月額5,000円~2万円程度

  管理財産額が5,000万円以上で月額2万5,000円~3万円程度

死後事務は依頼できない

任意後見契約は、本人の死亡によって終了します。

そのため、死後事務(葬儀・火葬や身辺整理)を任意後見人に依頼することはできません。

依頼をするためには、死後事務委任の契約を別途締結する必要があります。

任意後見制度を利用するための手続き

公正証書による任意後見契約の締結

任意後見契約は公正証書によって締結する必要があります。

口頭での約束や当事者二人で作成した契約書では効力がありません。

原則として公証役場で公証人立会いの下で任意後見契約を締結します。

(出張費を支払えば所定の場所で契約することも可能です)

公証人は契約書の不備は指摘してくれますが、サポート内容などの契約内容についてはアドバイスはしてくれません

サポート権限などの契約内容については法律専門家に相談することをおすすめします。

任意後見契約締結のための必要書類

≪委任者≫(サポートしてもらう人)

・印鑑証明書

・実印

・戸籍事項証明書

・住民票

≪受任者≫(サポートする人)

・印鑑登録証明書

・実印

・住民票

≪費用≫

 手数料 11,000円

 登記嘱託手数料 1,400円

 収入印紙代 2,600円

 その他郵送切手代

家庭裁判所へ任意後見開始の申し立て

本人の判断能力が不十分となった時に、家庭裁判所へ任意後見監督人選任の審判を申し立てます。

家庭裁判所から任意後見監督人が選任された時点で後見開始となります。

 ≪任意後見監督人の申し立て必要書類≫

 ・任意後見監督人選任申立書

 ・申立事情説明書(任意後見)

 ・親族関係図

 ・本人の財産目録資料および資料

 ・本人の収支予定表および資料

 ・任意後見受任者事情説明書

 ・診断書

 ・本人の個人戸籍事項証明書

 ・本人の住民票

 ・登記事項証明書

 ・任意後見契約書のコピー

 ≪費用≫

 ・申立手数料(収入印紙) 800円

 ・登記手数料(収入印紙) 1,400円

 その他郵送切手代

   →→【参照】東京家庭裁判所 任意後見監督人申し立て

まとめ

任意後見制度においては、信頼できる人にサポートしてもらえるというメリットがあります。

サポート内容(任意後見人の権限)についても柔軟に決めることができます。

また、より充実した老後生活を送るためにも、「任意後見をどうするか」「法定後見にすべきか」「家族信託を併用すべきか」などよく考える必要があります。

わからない点・気になる点については法律専門家へ相談することが重要です。

↓↓↓個人的にご相談されたい方はこちら

行政書士倉橋尚人事務所

コメント

タイトルとURLをコピーしました