法定後見制度とは!?法定後見制度を利用すべき場面や手続きの流れを解説

後見制度

おはようございます。

東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。

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加齢や認知症によって判断能力は低下してきます。

判断能力が低下したときに、財産を適切に守る仕組みが法定後見制度になります。

今回は法定後見制度について、概要や手続きについて解説していきます。

(同じ成年後見制度の任意後見については改めて解説します)

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成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した人の財産や権利を保護すること目的としています。

高齢化に伴い認知症を発症し家族が成年後見の申し立てを行うケースが最も多くなります。

成年後見制度は『法定後見制度』と『任意後見制度』に大別されます。

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法定後見制度の概要

判断能力が低下した人の財産や権利を保護するための制度です。

民法の要件により家庭裁判所の審判で開始され、判断能力の程度により「成年後見」「保佐」「補助」に分かれ利用できる内容が変わります。

判断能力の低下が顕著であれば「成年後見」、次いで「保佐」、判断能力が有る程度残っていれば「補助」となります。

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この方々をサポートするために、「成年後見人」「保佐人」「補助人」が家庭裁判所で選任されます。

サポートされる人(保護される人)を「被成年後見人」「被補助人」「被保佐人」といいます。

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成年後見人・保佐人・補助人の権限

法定後見制度は判断能力の程度によって、サポートする各位に大きな権限を与えて判断能力が低下した人を保護します。

それぞれの権限は以下になります。

  

   →→民法13条

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法定後見制度を利用する手続き

法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所へ申し立てを行います。

申立人は、サポート候補者を推薦することができます。

親族や法律専門家を推薦するケースが多いですが、法人を推薦することも可能です。

≪手続きの流れ≫

・家庭裁判所に対する申し立て

・審理

・法定後見の開始の審判、法定後見人の選任

・法定後見の開始

本人・配偶者または四親等内の親族や検察官などが申し立てます。

他、より事理弁識能力が悪化した場合など保佐人・補助人が申し立てることもあります。

申し立てをする家庭裁判所は住所地の家庭裁判所になります。

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≪準備する書類≫

・申し立て書

・申し立て手数料

・登記手数料

・郵便切手

・戸籍謄本、住民票

・成年後見に関する登記事項証明書

・診断書

など

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審判の申し立てを受理した家庭裁判所は、本人に対するヒアリング・判断能力の鑑定などにより判断します。

また後見人についても、ヒアリングなどを行い適任かどうかを判断します。

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法定後見制度の費用

 申立手数料 800円

 登記手数料 2,600円

 連絡用の郵便切手 都度(数千円程度)

 鑑定料 必要な場合のみ(10万円以下程度)

成年後見人・保佐人・補助人へ支払う費用

成年後見人・保佐人・補助人へ支払う費用は、本人の資力などを勘案し家庭裁判所が個別に決めます。

たいていの場合は、月額2万円~6万円ほどになります。

法定後見制度を利用すべき場面

自宅の売却

老人ホームなどの施設に入所している場合、自宅が空き家になっていることが多々あります。

家・庭の定期的な手入れや固定資産税の支払いを避けるためには売却をしなければなりません。

しかしながら本人(所有者)に判断能力がない場合は売買契約を結ぶことができません。

法定後見制度を利用して、本人に代わり後見人が売買契約を締結して自宅を売却できます。

売却をして得た現金は、施設の利用料として使うことも可能です。

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遺産分割協議

相続となった場合は、相続人全員で遺産分割協議をすることになります。

  →→遺産分割協議についてはこちら

遺産分割は法律行為となるため、協議に参加するためには判断能力がなければならず判断能力のない人が参加して遺産分割協議を成立させた場合は無効となります。

成年後見人が同じ相続人である場合は、利益相反行為となるため相続における特別代理人を選任する必要があります。

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施設入所契約

判断能力が低下したために施設に入所することを考えます。

施設入所契約も法律行為となるため、本人の判断能力が必要となります。

そのため、判断能力が低下した方が施設に入所するためには法定後見制度を利用する必要があります。

毎月の施設利用料も成年後見人が管理するため、継続的な施設での生活を安心して過ごせます。

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まとめ

昨今の高齢化社会においては法定後見制度を利用する機会が増えてくると考えられます。

法定後見制度は認知症などで判断能力が低下した人の財産や権利を保護するために必要な制度といえます。

しかしながら判断能力が低下したからといって、すべての人が法定後見制度を利用する必要があるかどうかは人によって異なります。

利用すべきかどうかのお悩みがあれば、法律専門家へ相談することをおススメいたします。

↓↓↓個人的にご相談されたい方はこちら

行政書士倉橋尚人事務所

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