遺贈について!?                 法定相続人以外に財産を渡すためには

おはようございます。

東京都内で行政書士事務所を営む倉橋 尚人と申します。

前回の記事では行政書士として相続関係に携わる中、前回の記事では相続税とくに基礎控除について記載しました。

(税金関連は税理士先生の専門分野となりますためご承知おきください)

おさらいとして基礎控除額の計算式は

『基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)』   です。

計算式の中で、法定相続人の人数とありますが相続する人の数ではなくあくまでも法定相続人の人数となります。

そこで今回は法定相続人以外では、相続ができるのか?控除は受けられるのか?を数回に分けて掲載していきます。

 ※法定相続人:民法で定められた、亡くなった方の財産を相続できる権利のある方

まずは遺贈について解説していきます。

遺言によって法定相続人以外に財産を一部あるいは全て譲ることを遺贈といいます。

相続との違いは、遺言をする必要があることです。

遺贈の場合は、遺言書に記載されれば人でなくても財産を受け取ることができます(法人など)

相続・遺贈と似たものに「死因贈与」というものもあります。

死亡を起因とする贈与契約となり、契約のためあらかじめ受け取る相手との合意が必要となります。

死因贈与については、また改めて解説させていただきます。

話を戻して・・・

遺贈によって財産を受け取る人を受遺者といいます。

また遺贈は2種類に分けることができます。

『包括遺贈』と『特定遺贈』

包括遺贈とは

   被相続人が自身の財産の一部あるいは全部を受遺者へ遺贈する仕組みとなります。

      例えば『Aさんへ財産の1/3を遺贈する』といったものです。

   遺産の内容を特定しません

   注意する点としては借金などのマイナスの資産も含まれるという点です。受け取る側と

   してはマイナス資産も割合に応じて引き継ぐことになります。

   

【メリット】

   包括遺贈の場合は、法定相続人と同じ権利義務があります。そのため、遺産部活協議の際

   に自分の意見を述べることができます。

   また遺言書を作成して被相続人(遺言者)が亡くなるまでの間に財産が変化したとしても

   遺言書に記載された割合で財産を引き継ぐ権利が保障されます

 【デメリット】

   法定相続人と同じ権利義務となるため、負債も引き継がなければなりません。

   財産の内容を考慮して遺贈を辞退することは可能ですが、3か月以内に辞退をしないと

   財産を引き継ぐことを承認したとみなされます。

      ⇒辞退の申請は家庭裁判所でしか行えません。

   遺産分割協議の際に意見を述べることをメリットとして記載しましたが、相続人間との

   関係性が悪いと遺産分割でトラブルとなる可能性も秘めています。

 

特定遺贈とは

   被相続人が自分の財産を特定して受遺者へ遺贈する仕組みとなります。

     例えば『Aさんへ東京都〇〇区〇〇にある土地を遺贈する』といったものです。

   土地であれば、「不動産登記上の住所」「家屋番号」など、預金であれば「金融機関名」

   「支店名」「口座番号」など細かな情報を記載する必要があります。

  【メリット】

   引き継がれる財産が明確に指定されるため、法定相続人とトラブルとなることを避ける

   ことができます。(包括遺贈では財産の取り分で揉める可能性もあります)

   また負債を引き継ぐことはありません。

   辞退についても特定遺贈では受け取るかどうかの回答の期限は決められていません。

     ⇒回答を保留にしたままとすると、相続人や遺言執行者は遺産の分割ができないこと   

       になり非常に迷惑と感じます。

  【デメリット】

   不動産を引き継いだ場合、不動産取得税を支払う必要があります。

   また指定された財産によって法定相続人との割合が遺留分を侵害していると判断された

   場合は、被相続人の遺言であっても無効となることがあります。

    ※遺留分:特定の法定相続人に最低限保障されている遺産の取得割合

遺贈と相続とは似て非なるものです。大きなメリットがある反面、見逃してしまいがちなデメリットも存在しています。

お世話になった方・団体などへ財産を渡したい場合はトラブルとなるリスクをできるだけ減らした遺言書を残すことも求められます。

予防法務の観点から的確な知識を持った専門家にご相談することをお勧めいたします。

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行政書士倉橋尚人事務所

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